第7回 FUTURE DESIGN 2024
フューチャー・デザインは、持続可能な自然と社会を将来世代に引き継ぐために、新たな仕組みをデザインし、現在の社会の仕組みである市場や民主制を何らかの形で制御しようとする新たな分野です。たとえば、将来世代の視点に立ち、将来世代の利益を代表する役割を与えられた人々(仮想将来世代)は、通常の現代世代の人々とは異なる思考をして、将来世代の利益を擁護することが実験や実践で分かってきました。
本シンポジウムでは、フューチャー・デザインをめぐる様々な実践や研究について議論いたします。研究者だけでなく、自治体などの実務家も含め、意見交換を行います。奮ってご参加ください。
基調講演
9月14日(土) 16:55 - 18:10
※同時通訳あり
"Sustainability in the Anthropocene"
スウェーデン王立科学アカデミー人新世研究所 所長
ヘンリック・オステルブロム 教授
ヘンリックは、スウェーデン王立科学アカデミーの教授です。2022年に、同アカデミーの人新世研究所の初代所長に任命されました。それ以前は、ストックホルム大学のストックホルム・レジリエンス・センターで科学ディレクターを務めていました。行動生態学と海洋生態学を専門とするヘンリクは、「海洋管理のためのシーフードビジネス(SeaBOS)」イニシアチブの共同開発者です。これは、世界最大級のシーフード企業と科学者が協力し、海洋の管理改善を目指す取り組みです。彼の研究は、人間の協力と地球規模の持続可能性の課題に対する新しい解決策に焦点を当てています。特に、海洋システムのダイナミクス、民間企業との共同生産、そしてアーティストとの協力による人間と自然の関係の探求に力を入れています。
特別報告
岩手県矢巾町では、フューチャー・デザインを総合計画の策定や各種施策に取り入れていますが、日本初の取組としてこれを条例化し、現世代と将来世代が折り合うことで、無理のない「やんべに(いい塩梅に)」持続的なまちを形成していく仕組みの実装を目指しています。現在進行中のFD条例案の検討状況について報告します。
特別報告① 9月14日(土)10:05~
「地方自治におけるフューチャー・デザインの社会実装に向けて:矢巾町FD条例案による制度化の試み」
花立孝美
岩手県矢巾町企画財政課 課長
高橋雅明
岩手県矢巾町教育委員会学校
教育課 課長
特別報告② 9月14日(土)13:00~
「Cardiffからその先へ:Office of the Future Generations Commissioner for WalesでのFD実践とその後の進捗」
京都気候変動適応センターにてFDを通じた気候変動適応策の検討を行った経験から、2024年3月末にWales国のThe Office of the Future Generations Commissioner for Walesに上長と共に赴き、FDを実施した経験と、その後の展開について報告する。
一原雅子
総合地球環境学研究所・京都気候変動適応センター特別研究員/ 日本学術振興会特別研究員(RPD)
特別報告③ 9月15日(日)11:40~
「フューチャー・デザイン・コンソーシアムの挑戦」
地域や組織の枠を超えて、フューチャー・デザインを教育や人材育成に導入したい。その思いを持つ有志が集まり、フューチャー・デザイン・コンソーシアムの設立を目指して活動しています。ここでは、九州大学と愛媛大学における学部教育への導入準備状況、立命館大学における職員研修への導入実践を報告します。
岡本剛
九州大学 基幹教育院 准教授
上月翔太
愛媛大学 教育・学生支援機構 講師
菊地紀永
立命館大学 教学推進課 課長
特別報告④ 9月15日(日)13:30~
「長野県のソーシャルワーカーによる
フューチャー・デザイン・ワークショップの展開」
長野県社会福祉協議会と信州大学経法学部(井上信宏研究室)は、2020年から県下のソーシャルワーカーと共に、社会福祉や地域福祉にフューチャー・デザインを取り入れる研究に着手し、フューチャー・デザイン&ソーシャルワーク研究会(2021年〜)を立ち上げて活動を進めてきた。その特徴は、研究会をハブに専門や自治体を越えた協力関係を構築し、ワークショップの作り方や運営を公開しながら、ノウハウを共有知として積み上げてきたことにある。この特別報告では、そのなかで行われた東御市の実践(自治体単位で策定する地域福祉計画へのフューチャー・デザインの取り入れ)、上田市真田地区の実践(生活支援コーディネーターによる地域住民活動支援へのフューチャー・デザインの取り入れ)を取りあげて、実践活動から見えてきたことを報告する。
中島将
長野県社会福祉協議会
佐藤もも子
東御市社会福祉協議会、
社会福祉士
下倉亮一
長野県長寿社会開発センター
塩入さな江
上田市真田地域包括支援センター、生活支援コーディネーター
井上信宏
信州大学 学術研究院
(社会科学系)教授
特別報告⑤ 9月15日(日)16:15~
「FDマニュアルの公開」
フューチャーデザイン実践者のための手引書をこの度作成致しました。より多くの方に使っていただきたく、この場をお借りしてご報告させていただきます。
中川善典
総合地球環境学研究所教授・上智大学教授
プログラム
FUTURE DESIGN 2024 Program
9月14日(土)
司会:小林慶一郎(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・慶應義塾大学教授)
10:00 開会挨拶
小林慶一郎(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・慶應義塾大学教授)
「地方自治におけるフューチャー・デザインの社会実装に向けて:矢巾町FD条例案による制度化の試み」
10:05 特別報告①
花立孝美(岩手県矢巾町企画財政課 課長)
高橋雅明(岩手県矢巾町教育委員会学校教育課 課長)
11:05 休憩
司会:岡本剛(九州大学基幹教育院准教授)
「財務省におけるフューチャー・デザインの取組」
11:10 一般報告①
永野あきほ(環境省 大臣官房 環境経済課 課長補佐)
大本エリナ(財務省 主計局 調査課 課長補佐)
「個々人の多様な価値観に基づく「ありたい」未来像の共創:第12回科学技術予測調査」
11:40 一般報告②
岡村麻子(文部科学省科学技術・学術政策研究所科学技術予測・政策基盤調査研究センター主任研究官)
12:10 昼休み
司会:高橋雅明(岩手県矢巾町教育委員会学校教育課 課長)
13:00 特別報告②
「Cardiffからその先へ:Office of the Future Generations Commissioner for WalesでのFD実践とその後の進捗」
一原雅子(総合地球環境学研究所・京都気候変動適応センター特別研究員/ 日本学術振興会特別研究員(RPD))
14:00 休憩
14:05-18:10は同時通訳あり
司会:西村直子(立命館大学教授・大阪大学社会経済研究所特任教授)
14:05 一般報告③
"Does future framing affect people's contribution to climate change mitigation? Evidence from an online experiment"
Botao Qin, Jinhe Center for Economic Research, Xi'an Jiaotong University
14:35 一般報告④
"Sustainable Futuristic Visioning for Low-Carbon Heritage"
Farzaneh Gharaati, Ph.D. Candidate, Department of Architecture, Tarbiat Modares University, Tehran, Iran
15:05 休憩
司会:一原雅子(総合地球環境学研究所・京都気候変動適応センター特別研究員/ 日本学術振興会特別研究員(RPD))
15:15 一般報告⑤
"Soilbase for healthy Future Generations: Future Design Pilots in Amsterdam"
Olivier de Vette, Department of Epidemiology and Data Science, Amsterdam University Medical Centers, University of Amsterdam, the Netherlands
15:45 一般報告⑥
"Enhancing human imagination: adding creativity to Future Design for deeper experiences in a condensed workshop format."
Rick Koster and Igor Verettas, Leadership & organization consultants
16:15 一般報告⑦
"Taking the board of an engineering university to 2050"
Hugues Benoit-Cattin, INSA Lyon, Stéphane Grumbach, INRIA
16:45 休憩
司会:西條辰義(京都先端科学大学特任教授、総合地球環境学研究所客員教授)
16:55 基調講演
"Sustainability in the Anthropocene"
Henrik Österblom
(Director of the Anthropocene Laboratory, the RoyalSwedish Academy of Sciences)
18:10 閉会挨拶
西條辰義(京都先端科学大学特任教授、総合地球環境学研究所客員教授)
9月15日(日)
司会:中川善典(総合地球環境学研究所教授・上智大学教授)
「千曲市における住民参加システム『ポリネコ!CHIKUMA』によるこども基本法への対応と成果」
10:00 一般報告⑧
岩田崇(株式会社ハンマーバード代表、慶應義塾大学SFC研究所)
10:30 一般報告⑨
「京都・宇治での市民団体の取り組み」
瀬戸真由美(フューチャー・デザイン宇治(市民団体))
11:00 一般報告⑩
「オーフス窒素ワークショップにおけるフューチャー・デザイン体験イベントの報告」
林健太郎(総合地球環境学研究所教授)
11:30 休憩
司会:藤島和典(一般社団法人フューチャー・デザイン理事)
「フューチャー・デザイン・コンソーシアムの挑戦」
11:40 特別報告③
岡本剛(九州大学 基幹教育院 准教授)
上月翔太(愛媛大学 教育・学生支援機構 講師)
菊地紀永(立命館大学 教学推進課 課長)
12:40 昼休み
司会:西村直子(立命館大学教授・大阪大学社会経済研究所特任教授)
「長野県のソーシャルワーカーによるフューチャー・デザイン・ワークショップ展開」
13:30 特別報告④
中島将(長野県社会福祉協議会)
佐藤もも子(東御市社会福祉協議会、社会福祉士)
下倉亮一(長野県長寿社会開発センター)
塩入さな江(上田市真田地域包括支援センター、生活支援コーディネーター)
井上信宏(信州大学 学術研究院(社会科学系)教授)
14:30 休憩
司会:廣光俊昭(財務総合政策研究所)
「世代間協力の基盤となり得る道徳原理の検討ー年齢層に着目してー」
14:35 一般報告⑪
髙橋茉優(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程2年)
15:05 一般報告⑫
「多様なステークホルダーが語り合う地域の未来像:富士山におけるフューチャー・デザインワークショップの実践報告」
三ツ井 聡美(筑波大学芸術系助教)
勝俣俊二(一般社団法人カノエサル理事)
松山美恵(山梨県富士山科学研究所研究助手)
佐伯弘美(NPO法人富士山クラブ事務局職員)
瀧口千恵子(山梨県富士山科学研究所研究助手)
安田泰輔(山梨県富士山科学研究所主幹研究員)
織 朱實(上智大学教授)、中川善典(上智大学教授)
15:35 一般報告⑬
「住民たちの住民たちによるFD!高知県梼原町での取り組み」
田村俊夫(ゆすはら地域政策研究所代表)
16:05 休憩
司会:小林慶一郎(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・慶應義塾大学教授)
16:15 特別報告⑤
「FDマニュアルの公開」
中川善典(総合地球環境学研究所教授・上智大学教授)
16:30 一般報告⑭
「フューチャー・デザイン:過去可能性、現在可能性、将来可能性」
西條辰義(京都先端科学大学特任教授、総合地球環境学研究所客員教授)
17:00 閉会挨拶
小林慶一郎(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、慶應義塾大学教授)
Past Annual Meetings
2018 〜 2024 Future Design Workshop
過去のフューチャー・デザイン ワークショップ
フューチャー・デザイン2024組織委員会
Chair 小林慶一郎(キヤノングローバル戦略研究所・慶應義塾大学)
Vice-Chair 中川善典(総合地球環境学研究所・上智大学)
Members
西村直子(立命館大学・大阪大学社会経済研究所)
廣光俊昭(財務総合政策研究所)
高橋雅明(岩手県矢巾町教育委員会学校教育課)
藤島和典(一般社団法人フューチャー・デザイン)
一原雅子(総合地球環境学研究所)
岡本剛(九州大学)
小林淳(キヤノングローバル戦略研究所)
西條辰義(京都先端科学大学・総合地球環境学研究所)
Future Design 2024 Organizing Committee
Chair Keiichiro Kobayashi (Canon Institute for Global Studies, Keio University)
Vice-Chair Yoshinori Nakagawa (Research Institute for Humanity and Nature, Sophia University)
Committee Members
Naoko Nishimura (Ritsumeikan University and Institute of Social and Economic Research, Osaka University)
Toshiaki Hiromitsu (Policy Research Institute, Ministry of Finance)
Masaaki Takahashi (School Education Division, Board of Education, Yahaba town, Iwate)
Kazunori Fujishima (General Incorporated Association Future Design)
Masako Ichihara (Research Institute for Humanity and Nature)
Tsuyoshi Okamoto (Kyushu University)
Atsushi Kobayashi (Canon Institute for Global Studies)
Tatsuyoshi Saijo (Kyoto University of Advanced Sciences, Research Institute for Humanity and Nature)